標準的な大学院進学までの標準的な流れを示しています。
個人差がありますので、あくまでも標準的なスケジュールとして参考にしてください。
図1:大学院進学までの流れ(標準的な京都大学農学部からの入学者)
※4回生で配属された研究室で大学院生活を送る学生が多いが、研究室を変える場合は4回生4-5月に研究室訪問をします。
※出願に提出されたスコア(TOEFL iBT または IELTS)が英語科目として採点されます。そのため、3回生の頃から勉強している学生も一定数います。TOEFL/IELTSともに受験のチャンスが多く用意されている試験であり、場所によってはほぼ毎週末開催されます。ただし、両試験ともに結果が公開されるまで約2週間を要するため、出願までに余裕を持って受験することをお勧めします。詳細は「大学院入試情報」を参照。
図2:大学院進学までの流れ(標準的な他大学からの入学者)
※一般的には3回生の秋から4回生の4-5月までに、候補となる研究室を訪問する学生が多い。
※入試説明会については、応用生命科学専攻全体での説明会に加え、宇治キャンパスでも宇治にある応用生命科学専攻の研究室の説明会が別途行われます。
大学院入試に向けた勉強法、スケジュール、試験の出来や面接での内容など三名の学生にインタビューしました。(2022年8月)
分子生体触媒化学分野学研究室
修士一年
柴田涼佑さん
最も良き進路選択
分子生体触媒化学分野学研究室
修士一年 柴田涼佑さん
【研究室選び】学部時代化学を専攻しており、分子のはたらきが生体反応全てを制御していることに興味を持ちました。京都大学は世界でも屈指の研究設備があり、高度な実験ができることに魅力を感じておりました。7研究室見学の末、植物ホルモン分野の最先端で研究を行う分子生体触媒化学分野を選びました。【試験科目】専門Ⅱの試験科目は有機化学と生化学を選択しました。この2つは専門Ⅰの範囲とも重なっており、全体の75%をカバーできます。物理化学・応用微生物学・植物科学は範囲が狭く、対策はしやすいですが、専門Ⅰで他分野を学習する必要があります。ただ私が選択した有機化学と生化学の2科目は教科書が厚いので、受験までの期間を考慮して選択するのが良いと思います。勉強方法については研究室見学などの際、先輩に聞いてみると良いと思います。【試験】筆記試験は私服でしたが、面接試験はスーツで臨みました。筆記試験の専門Ⅱは時間に区切りがなく120分です。面接試験は5分程度で、志望理由や試験の手ごたえ、信念を聞かれました。【ひとこと】私は外部進学で入学しました。京都大学の研究は想像以上の環境と価値を提供してくれます。先生も先輩も優しいので、興味をもったら見学をお勧めします!
細胞生化学研究室
修士二年
辻雪奈さん
大学院入試について
細胞生化学研究室
修士二年 辻雪奈さん
【研究室見学】私は3回生時に7つの研究室を見学しました。実際に研究室を訪れ、先生や学生と話すことでリアルな情報が得られるので、興味のある研究室は全て見学しました。【大学院入試の試験勉強】授業で一度は一通り学習している内部生の標準的な準備期間は1ヶ月だと思います。私の場合は、3か月前から少しずつ過去問を解き始め、1ヶ月前からは院試休みで1日8~10時間程度の勉強時間を取りました。ヴォート基礎生化学、ボルハルトショアー現代有機化学、たのしい物理化学の3テキストを中心に、授業のレジュメや先輩のノートなども活用しながら出題範囲について網羅的に勉強しました。特に過去問で頻出の部分は隅々まで頭に入れるようにしました。また、私は英語が当日受験だったため、午前中は英語、午後は専門科目を勉強しました。英語は事前受験を強く推奨します。【入試当日】専門科目では、いくつか勉強しきれなかった所も出題され、8割くらいの手応えでした。面接では、試験の手応え、大学院で学びたいこと、将来の目標などについて質問され、時間は5分程度でした。【おまけ】空調で試験会場が寒いので上着があると安心です。
森林圏遺伝統御学研究室
博士二年
中西浩平さん
外部受験生も遠慮せず先輩を頼るが得策
森林圏遺伝統御学研究室
博士二年 中西浩平さん
【受験科目と勉強方法】私は物理化学と有機化学が苦手だったので、専門Ⅱでは生化学と植物科学を選択しました。勉強は、ヴォート基礎生化学と植物生理学概論、植物栄養学第2版をベースに、研究室OBのノートのまとめ方を参考に進めました。過去に出題頻度の高い問題は、その領域の基礎問題なので時間をかけて丁寧にまとめました。教授からのアドバイスは、「白紙に代謝経路をまるまる書けるレベルには勉強するように」だったので、試験の1週間前からは、頭を整理する意味でもそれを繰り返していました。得点は、6割程度だったと思います。【研究室見学】植物系の研究室には一通り興味を持ちましたが、HPで研究内容を見て、まず今の研究室に訪問しました。とても良い印象で、訪問時期も5月頃と遅かったので、他の研究室には訪問せずに決めました。【博士進学について】外部受験ということもあり、新しい環境に慣れるまでの時間や就活などに取られる時間を考慮すると、本腰を入れて研究できるのは1年ほどだと推測しました。せっかくレベルの高い環境でやりたい研究ができるのに、1年ちょっとじゃ勿体ないと思い、入学前から博士進学を決めていました。【ちょい足し】外部受験生の方は、試験会場までのルートや所要時間を、志望する研究室の人に聞いておくことをお勧めします。
現在の研究内容、研究室での生活の様子、博士課程進学や就職活動などについて四名の学生にインタビューしました。(2022年8月)
エネルギー変換科学研究室
修士二年
奥田美智子さん
宇治キャンパスでの院生生活
エネルギー変換科学研究室
修士二年 奥田美智子さん
【キャンパス周辺の様子】宇治キャンパスは最寄りの黄檗駅から徒歩10分弱の閑静な住宅街にあります。コンビニやスーパーは徒歩圏内にあり、近くには全国からファンが来る有名なパン屋さんもあります。またキャンパス前の芝生はファミリーの方々が良く遊んでおり、利便性が高く温かい雰囲気のキャンパスだと感じます。【大学院進学の理由】私が外部進学を決めたきっかけは酵母菌を扱った研究への興味です。関西の大学に絞りいくつか研究室訪問をする中で、現在の所属研究室を第一志望に受験しました。今は酵母菌を用いて、細胞内のレドックス状態の調節に関わるタンパクとシグナル伝達の関係を研究しています。研究活動では、実験機材や装置など学生1人あたり十分に使わせていただいていることや、毎週教授に指導していただける環境が本当に有難いです。今自分が取り組んでいる研究テーマは研究室の方々の支援や指導があり成り立っているものなので、そのことに常に感謝しながら日々研究活動に取り組んでいます。【研究を通した出会い】学業面に加え、今の自分にとっては、進学後に出会えた“人”も大きな存在です。研究室の先生方や先輩後輩はもちろん、サークル、就活を通し多くの方々に出会う中で自身の価値観や人生観が変化する経験がありました。この1年半の間、貴重な経験を沢山していているからこそ、もう一度進学の機会に戻ったとしても、間違いなく応用生命の現在の研究室を志願すると思います。【卒業後の進路】卒業後の進路はアサヒ飲料の生産研究職として働かせていただく予定です。就職活動期も、研究室の方々が支えて下さったため、自身のキャリアについて真剣に考えることができました。今の自分のロマン(夢)は殺菌処理をしていない(生きた酵母菌や乳酸菌の入った)カルピスを世の中に届けることです。受験生の皆さんも自分の夢ややりたいことを是非大切にして下さい…!応援しております。
生体機能化学研究室
修士二年
槇塚太紀さん
物理化学を軸とする研究と修了後の進路
生体機能化学研究室
修士二年 槇塚太紀さん
【研究紹介】応用生命科学専攻(以下、応生)では、生化学、応用微生物学、物理化学、有機化学、植物栄養学などの学問や様々な研究手法を駆使して生命現象の解明に取り組んでいます。私は、ある先生の授業を通して物理化学から生命現象を解明する面白さに魅力を感じ、現在はその教授が担当教員を務める研究室に所属しています。同研究室で研究を推進する傍ら、応生内の他の研究室で指導をいただきながら、遺伝子工学的手法を用いた共同研究も行っています。応生では生命現象の解明に資する基礎研究を基に、農業生産、食品、製薬、環境問題に役立つ応用的な研究も盛んに行っています。例えば、私の研究対象であるギ酸脱水素酵素という酵素は、常温常圧中性において二酸化炭素の還元を触媒し、世界的に重要な課題である温室効果ガスを削減する技術に応用できると期待されています。【修了後の進路】電子部品・電池等を扱う企業で研究職として働く予定です。元々環境問題に興味があったため、次世代電池の研究開発に携わり、脱炭素社会の実現に貢献したいと考えています。応生での研究内容が直接活かされることは少ないかもしれませんが、これまで研究で培った問題解決能力等を活かせると考えています。様々な手法を用いて生命現象やその機能を解明したり、バイオテクノロジーを通して社会問題解決に貢献したりしてみたいという方にとって応生は最高の学びの場だと思います。
制御発酵学研究室
修士二年
重田佳奈さん
学生生活について
制御発酵学研究室
修士二年 重田佳奈さん
【研究内容】私は植物に生息する新規の微生物を発見し、有効利用することを目的に研究を行っています。また、発見した微生物と植物の関係性を調べて両者の相互作用に関する知見を得ることも重要な研究内容です。【研究室の構成や日々の様子】研究室は現在、教員、事務補佐員、研究員、学生の約20人(内留学生2人)で構成されています。自分の研究内容に関し、誰にでも気軽に相談できる雰囲気があります。実験に必要な基本的な機器や試薬は揃っており、希望通り実験を遂行できます。【外部生として】入学当初は少し心細かったですが、皆優しく受け入れてくれたので、すぐに不安が解消されました。また、大学学部時代とは専門分野が違いましたが、院試勉強や研究を通して必要な知識を身に付けることができました。【京大に移ってきてよかったこと】異なるバックグラウンドを持った人達と知り合えたことです。環境が変わることで、自分自身成長すると感じています。【外部とのネットワーク機会】企業や外部の研究機関と共同研究を行っており、自身が携わるテーマによっては関わることもあります。また、学会など学術的な会合で同世代の学生や若手の研究者と意見交換ができることは非常に刺激になります。【なぜ博士進学を決めたか】入学当初から博士課程進学を決めていたわけではありませんが、自分が将来何をしたいか考えるうちに進学を視野に入れるようになりました。何かを成し遂げたという自信を持てるまで研究を続けたいと思ったことが一番の理由です。
発酵生理及び醸造学研究室
博士二年
許俊暐さん
留学だからこそできる事をやってみよう
発酵生理及び醸造学研究室
博士二年 許俊暐さん
【大学院入学】G30プログラムを通して農学研究科に入学しました。私の場合試験はなく、指導教授からの許可が得られた時点で大学院への入学が許可されます。広島で交換留学をしていた当時、まずは電話で教授と直接お話をし、研究室訪問の日程を決めました。事前に自身が興味のあるテーマを考え、訪問中の短い時間で如何に自身のやりたい研究内容や熱意を伝えるかが重要です。入学試験はありませんが、教授から基本的な知識について聞かれることがあります。内部生と違って過去問などの情報は一切なかったのですが、私は学部で受講した授業を復習しておきました。【博士課程への進学】博士課程に進学した理由は、将来日本に限らずグローバル人材として活躍したいと思ったからです。そのためにはPhDを持った方が世界的に通用すると教授から助言を受けました。同じ研究室で修士課程から進学すると研究テーマを継続することができ、私の場合はほぼ3年で博士号を取れると思います。【私生活】研究に没頭する傍ら、京都をもっと知りたいと思いました。そこで、京都府名誉友好大使に応募し、希望通り同大使を拝命しました。府民との交流活動を積極的に行ったことなどを通して、京都への愛が深まりました。最後に、これから留学したい人へ。留学とは知識面だけではなく文化面からの刺激も受けることができる機会となります。ぜひ留学だからこそできる事をやってみましょう。
農学研究科全体の情報についてはこちらをご覧ください
アドミッションポリシー
応用生命科学専攻では、微生物から植物やヒトにわたる広い範囲の生物を対象とし、以下の観点から教育・研究をおこなう。
1.生命現象を物理化学・有機化学・生化学・分子生物学を基にして理解し発展させる。
2.微生物・植物・動物を対象とし、生物機能の共通性と多様性を理解し発展させる。
3.研究を通して、研究アプローチの仕方、論理的思考を修得するとともに、独創性を養う。
4.新たな発見・発明を応用研究に発展させ、研究の成果を社会に還元する。
教育においては積極的な自学・自習を尊重し、生命現象の原理の理解とともに、その原理に基づいて発酵・食品・化学工業・食料生産・環境保全・医療などの現場で生じる様々な課題を解決し、その成果を新しいバイオテクノロジーやバイオサイエンスとして展開できる研究者・技術者を育成する。
このような教育を受け止めることのできる英語力および物理化学、有機化学、生化学、微生物学、植物科学分野の学力を備え、明確で強い動機を有する人材を幅広い分野から募集する。
入試説明会
2024年度大学院入試説明会及び分野相談会が開催されます。
日時: 令和5年9月28日(木)13:00-16:35
形式: オンライン開催
対象者: 2024年度入学希望者(第二次募集:2024年1月)及び2025年度入学希望者
詳細は こちらをご確認ください。※参加には事前登録が必要です。
2024年度4月入学者向け 大学院入試説明会(2023年2月18日開催)の動画です。
興味のある方は研究室訪問やお問い合わせフォームをご活用ください。
進路状況:2年に一度を目処に更新しています。
農学研究科全体の終了後の進路についてはこちらを参照
大学院修士課程修了者の進路状況 | |||||
---|---|---|---|---|---|
年度 | 修了者 | 進学 | 就職 | その他 | 未回答 |
2017 | 64 | 6 | 55 | 3 | - |
2018 | 62 | 9 | 50 | 2 | 1 |
2019 | 63 | 7 | 54 | 2 | - |
2020 | 76 | 13 | 60 | 2 | 1 |
2021 | 54 | 9 | 43 | 2 | - |
大学院博士後期課程修了・認定退学者の進路状況 | ||||
---|---|---|---|---|
年度 | 修了・認定退学者 | 就職 | その他 | 未回答 |
2017 | 9 | 2 | 6 | 1 |
2018 | 15 | 5 | 8 | 2 |
2019 | 11 | 9 | 1 | 1 |
2020 | 12 | 10 | 2 | - |
2021 | 12 | 9 | 3 | - |
農学研究科大学院修了・研究指導認定退学者の 産業別就職状況 |
|||||
---|---|---|---|---|---|
2021年 | 修士課程 | 博士課程 | |||
産業 | 男 | 女 | 男 | 女 | |
製造業 | 農業・林業・漁業 | - | - | - | - |
鉱業・建設業 | - | - | - | - | |
食料品・飲料・たばこ | 4 | 1 | 1 | - | |
繊維工業・印刷等 | 2 | - | - | - | |
化学工業・石油 | 8 | 3 | 2 | - | |
鉄鋼業・金属 | 1 | 2 | - | - | |
機械・電気 | - | 1 | - | - | |
その他 | - | - | - | - | |
サービス業等 | 電力・ガス | - | 1 | - | - |
情報通信業・運輸業 | 4 | 2 | - | - | |
卸売・小売業 | 1 | - | - | - | |
金融・保険業 | - | 2 | - | - | |
学術研究、専門・技術 | 5 | 4 | 1 | 1 | |
宿泊・飲食業 | - | - | - | - | |
その他 | 2 | - | - | - | |
教育 | 学校教育 | - | - | 3 | - |
学習支援業 | - | - | - | - | |
公務 | 国家公務 | - | - | - | - |
地方公務 | - | - | - | - | |
上記以外 | - | - | - | - | 1 |
過去問はどこで入手できますか?
過去問入手希望者は、該当ウェブページにて必要事項を記入の上ご連絡ください。PDF形式にて過去5年分の大学院入試を送付します。
農学部出身ではないが出願できますか?
可能です。理学部、工学部、医学部を始めとして様々な学部出身者が応用生命科学専攻に入学し、活躍しています。
大学院入試説明会はいつ開催されますか?
例年1-3月の時期に開催をしています。入試説明会の日時が決まりましたら、本ページの「新着情報」に情報が掲載されます。
大学院入試の勉強の仕方を知りたいです。
先ずは希望の研究室を訪問して話を聞くことをお勧めします。また、本ページの「合格者体験記」に数名の先輩から入試の勉強法などに関してインタビューをしています。また、標準的な準備スケジュールを「受験に向けた準備」に記載しました。ご参考にしてください。
二次募集はありますか?
一次募集の状況次第で二次募集が実施されます。最近では、2022年度と2023年度募集において二次募集が実施されました。例年11月上旬に募集要項が公開されますので、新着情報をご確認ください。出願締め切りは12月上旬ですので、早めの準備をお願いします。
一次募集と二次募集で試験科目は異なりますか?
専門科目は異なる場合がありますが、TOEFL等英語科目に関しては、同様の水準が必要となります。特に、英語のスコアは出願時に必要となりますので、早めの準備をお願いします。
研究室生活について知りたいです。
本ページの「在学生インタビュー」に数名の先輩から研究室生活全般に関してインタビューをしています。また、応用生命のTwitter、Instagramに様々な投稿をしています。
応用生命科学専攻の研究内容を知りたいです。
「専攻紹介」ページに応用生命科学専攻に所属する全ての研究室に関する情報や、教員の紹介、修了生の活躍などがまとめられています。ご参考にしてください。
吉田キャンパスでの私生活はどうですか?
吉田キャンパスの周辺にはレストランやカフェといった食事処からドラッグストア、ホームセンターなど日用品を購入できるお店がたくさんあります。日常生活を送りやすい一方で、四条河原町や祇園などにも電車やバスで15-20分程と繁華街にアクセスの良い場所でもあります。
宇治キャンパスでの私生活はどうですか?
キャンパス周辺は落ち着いた街並みですが、自転車圏内に大型スーパーもあるなど、普段の生活には全く困りません。大学前にはおいしいパン屋さんもあります。京阪電鉄で四条や三条にも行けますが、京都駅までJRで約20分と近いので京都駅周辺で遊ぶ方が多いです。
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